互いを認め合う姿勢が結ぶ
文化や国籍を越えた友情。
Naoto Hasegawa
長谷川 直人
仕事の内容 インドネシアの拠点に生産技術課を新設
生産技術スタッフとして、2012年から約6年間、インドネシアの関連会社に出向しました。当時インドネシアには約400人の現地社員がいましたが、日本からの駐在員4名と適宜出張してくる本社のスタッフが協力しながら、現地の日系自動車メーカー向けの冷間鍛造シャフトの生産ラインを構築。日本同様のクオリティーで安定生産を継続できるよう、技術支援を行いました。インドネシアにはそれまでも短期出張で何度か足を運んでいましたが、ちょうど私の赴任のタイミングで生産技術課を置くことになったため、組織づくりの面では不安がありましたね。どんな思い出がありますか?熱意で乗り越えた言葉の壁
やっぱり、言葉の壁を乗り越えるまでが大変でした。インドネシアの人たちは仕事熱心ですし日本人に対しても非常に友好的なので人間関係は問題ないのですが、生産技術は特に課員や他部署との連携が大切で、同じゴールに向けて一致団結して取り組む必要があります。通訳を務めてくれる方もいることはいるのですが、常に私に付きっきりというわけにはいきません。そこで片言のインドネシア語を駆使しながら、日本語の全くわからない作業者にもひるむことなく筆談とジェスチャーでコミュニケーションを取っているうち、だんだんと言葉も覚えて意思の疎通が楽になりました。きれいな言葉より伝えたい熱意が大切だということを知りましたね。海外勤務の経験から、学んだこと・得られたもの理解し合う大切さと、多角的な視点
得たものは数え切れないですね。国が違えば考え方が違うというのは、頭ではわかっていてもなかなか理解は難しいものです。私自身、マネージャーという立場でもあったので、会社の代表として現地の社員と労働環境などについて話し合いをする機会もあったのですが、最初は考え方や法律、それにイスラム教独特の宗教観など、驚きの連続でした。しかし、現地の方たちと肝胆相照らして付き合っていけば、そういった違いをお互いに理解して、歩み寄ることができるようになります。当然、日本人の考え方で正すべきことも多々あり、仕事の面でも人間性の面でも視野が広くなったという思いがあります。日本から見るよりも現地の進歩のスピードは著しいので、本社に戻ってきた今は今までよりもっと情報伝達を早く、連携を密にして、お互いの良さをさらに引き出せる環境づくりをしていきたいと考えています。海外勤務で必要なことは何でしょうか公私共に大きな支えだった、家族の存在
海外赴任が決まった時、うちには中1を筆頭に3人の子どもがいたので、学校のことなどを考えて単身赴任するつもりでいました。ところがそのことを告げると家族の反応は「インドネシアって楽しそう」。結果、受験の関係もあって6年一緒というわけにはいきませんでしたが、家族5人でインドネシアに渡航しました。現地での生活拠点はジャカルタ市街地なので周辺環境も良く、社宅として使っているマンションにはプールやグラウンドがあったりして、休日は家族で大いにインドネシア生活を満喫しました。現地は経済も右肩上がりで活気があり、日本製品などもかなり充実しているので生活面で不自由を感じたことはありませんでしたね。子どもたちは、本音ではまだインドネシアにいたかったようです(笑)。そんな経験を踏まえて、私は同僚や後輩たちが海外に赴任するときは、できれば家族と一緒に行くことを勧めているんです。やっぱり精神的にも大きな支えになりますし、家族もまた海外で得るものが少なからずあると思うので。